「想いを描く」とか「人生のビジョンを持つ」とか、前向きなことを2回ほど
続けて書いた。だが、人間は複雑であり、いつも前向きばかりには生きていら
れない。僕自身は典型的な躁鬱(そううつ)型の人間であると自覚している。
若い時は会社に出られなくなることもあった。年齢が40歳も過ぎると多少コン
トロールもできるが、今でもよく落ち込む。
落ち込むと、やる気が出てこない、自信がなくなる、人と会うのがおっくうに
なる、自分が嫌になるといった状況になる。こんな時に「想い」だ「ビジョン」
だなどと言われると、よけいに気がめいる。
落ち込む理由は様々だ。仕事がうまく行かない、仕事で失敗した、人からバカ
にされた、悪く言われた、自分の理想の姿と現実のギャップの大きさに悩む。
こんなことがきっかけになって、元気がなくなり、自分の悪い面や嫌な面ばか
りに目が行くようになる。
歳をとってひどいうつ状態にならないのは、うつ状態になりかける時にいろん
な手を打てるようになったからだと思う。うつ状態になり始めたら、先ずはあ
まり無理をしない。同時にうつ状態がひどくならないように、必要最低限のこ
とは無理をしてでもやる。会社には必ず出勤する、整理整頓する、最低限の仕
事は続けるとかである。何もかもやらなくなり、人と会わなくなると、状況は
加速度的に悪くなるからだ。
もう一つ大切なことは、うつ状態になっている自分というものを認めることだ。
うつになりやすい人は、几帳面で繊細で、こだわりが強くてまじめな性格の人
が多いと言われている。こういった性格自体は人間的にも仕事をする上でも悪
いものではない。
そういういい面を持っているからこそうつ状態になるのである。良い面・悪い
面、ひっくるめて自分を認めることが大事である。理想だけに目をとられず、
目の前の自分に与えられた仕事を一つひとつこなしてゆくことも大切だ。
そうやって、自分を全人的に認め、最低限の生活を維持していれば、素敵な人
から元気をもらったり、苦しい中で頑張っている人に感動したりする。そんな
中で、元気が少しずつ回復してくる。
後ろ向きの感情や考え方だけにとらわれるのではなく、自分の良い面を見、自
分を肯定し、素敵な人達と会い、自分のペースで少しずつ人生を歩んでゆこう
ではないか。
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