仕事を始めて間もない若い人達と話をすると、それぞれに大きな悩みを抱えて
いる。新人にしては厳しすぎる境遇にいる人もいる。辛いだろうなと思う。し
かし、おじさんの視点でそういう人達を眺めると、やはり彼らはいい経験をし
ていると思える。
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辛抱することはとっても大切なことだ。辛抱する、つまり辛さを抱いて生きて
ゆくことで人は磨かれるのだと思う。
どんなに厳しい状況であっても、それで命を奪われるわけではない。いつかは
何らかの解が見つかるものだ。少しスローダウンする必要がある場合もあるだ
ろうし、「出来ません」と言って周りの人に助けを求める方がいい時もあるか
もしれない。いずれにせよ、どんな状況も必ず変化する。
ただ、苦しみの真っ只中にいる時は辛い。夢も希望も自信もなくなり現実から
逃避したくなる。そんな時僕はいつも父の前に戻る。「父の前」といっても彼
は20年以上前に他界していてこの世にはいないのだが。
プライベートな事を書いて恐縮だが、僕の父は旧制の小学校を出て、自転車で
パンの行商をしていたようだ。父の母親は彼を産んだその日に他界したらしく
彼は母親の顔さえみたことがない。彼にとっては家庭の事情で旧制中学に行け
なかったことがとても悔しかったようで、いつも僕に「お前が学校に行きたい
のならどんなことをしてでも行かせてやる」と言っていた。
彼はパンの行商から運送会社を経営するまでになったのだが、僕が小学校の時
に病気になり運送会社もつぶれ、入退院を繰り返しながら、やっとの思いで僕
を大学まで行かせてくれた。本当に心身共にやっとの思いだったのだろう、僕
が大学を卒業して就職した10日後に突然他界した。
そんな父の仏前に座ると、今自分が抱えている苦しみや悩みが、本当にちっぽ
けなものに感じられ、「もう一度やれるところまでやってみよう」という気持
ちになる。
人間はだれしも弱いものだと思う。いつも調子のいい時ばかりではない。くじ
けそうになることがある。逃げだしたくなる時もある。そんな時、人間には心
の支えが必要なのだと思う。
くじけそうになる時、心を癒してくれ、新たなエネルギーをもらえる場所を
持っていてもらいたい。人は人によって傷つけられるが、その傷を癒してくれ
るのもまた人なのだ。
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