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國さんコラム「自分らしく生きる」
国貞克則
国貞克則
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 2005/05/30
<第28話>「幸せはどこにある」
学歴のなかった僕の両親は、僕が安定した生活を送れるようにと大学へ行かせてくれた。そのお陰で希望する会社にも入れたし今生きていけているのだと思う。

しかし、僕にとっての幸せは安定した生活や会社での出世にはなかった。
確かに偉くなりたい、同期のやつらには負けたくないと思って必死で働いた時期もあった。でも、自分の心の中を冷静に覗いてみると、安定や出世の中に僕にとっての幸せはなかった。

今、本当に幸せだなと感じるのは、倒産の危機に直面しながら必死に再建の道を探っている顧問先の幹部社員の皆さんと議論している時だ。従業員とその家族の人生がかかっているから皆真剣だ。

ボーナスも出なくなり給料もかなり減額されているので、オンボロの車に乗っている。しかし、そこには人間の本当の素晴らしさがある。まさしく寝食を忘れて一生懸命に何かに打ち込む人間の姿がある。簡単に結果が出ないから僕も苦しい。自分の力のなさに嫌気がさしてくることもたびたびだ。僕のビジネスとしても儲かっていない。でも、僕にとってはそのような一生懸命な人達と一緒に仕事ができていることに何よりも幸せに感じるのだ。

今までの人生を振り返ってみて思い出深かったのは、ビルマの製鉄所建設で、完成した工場から真っ赤な鉄の製品が始めて出てきた時だった。何百人もの技術屋がただその時のために多くを犠牲にして仕事をしてきた。その何年かのことを考えると感極まるのだ。この最初の真っ赤な鉄が出てくる時を「赤通し」というのだが、「赤通し」の時はそのプロジェクトに携わった殆どの男達がその赤い鉄を見ながら涙する。

真剣に何かをするということは大変だ。しかし、真剣に何かをすることの中に素晴らしさと感動があり、そこに幸せがあるのだと思う。

こんな考えは今の若い人達にとっては「ウザイ」話なのかもしれないが、僕自身はこれからも感動を味わえる仕事を目指してゆこうと思う。
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