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國さんコラム「生きる力」
国貞克則
国貞克則
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 2005/11/14
<第2話>「一長一短」
前回のコラムで、就職セミナーで講演した際「君達は大きな会社に行きたいか、小さな会社に行きたいか」と尋ねたら8割くらいが小さな会社に行きたいと答えた、と書いた。殆どの学生が大きな、それも有名な企業を目指しているのだと思っていた僕は結構ビックリすると同時に、それ程までに大企業に魅力を感じなくなっているのかとガッカリした。

大企業の魅力はたくさんある。その第一は、個人や小企業では成し遂げられない大きな仕事ができることだ。僕がやっていた海外プラント輸出もそうだ。発展途上国の経済発展のために何百人という人が協力して製鉄所を作る。自動車だって中小企業には作れない。

人間関係の面でもメリットはたくさんある。同期と呼ばれる同じ年度に入社した仲間達だ。同期は一緒によく遊ぶ。苦しい時の相談相手にもなってくれる。同期の連中は一生の付き合いになることが多い。また、大きな会社には人事異動がある。嫌な上司にあたっても暫く我慢すれば、次に肌の合う上司とめぐりあうこともある。教育研修制度も福利厚生施設も充実している。

このように書くと大企業の方が全てに渡っていいように思うかもしれないが、そうでもない。中小企業の場合は、大企業以上に新人に対する期待度が高い。重要な仕事を若いうちから任される機会も多い。地域を超えての異動も少ない。自動車は作れなくても、自動車の重要なカギをにぎる部品は、特徴ある中小・中堅企業が作っている場合が多い。

その中でも、中小企業で働く一番のメリットだと僕が思うのは、社内の体制も整ってなく、研修制度も不備な状態の中で、責任の大きな仕事をやらされることだ。人間は与えられるものが多ければ多いほど、自分で考えたり、自分でつかみとったり、自分の力で生きてゆこうとしたりする力が弱まってくる。

私の知り合いの社長さんで、娘さんを高校から一人アメリカに行かせた方がおられる。彼女は15歳で一人アメリカにほうり出され大変な苦労をされただろう。だが、その苦労を乗り越えアメリカで大学まで卒業してみると、日本でお決まりのルートに乗って大学を卒業した人達と比べれば、それはもう比較にならない程の「生きる力」の差がある。

大企業の魅力も捨てがたいが、たくましく生きてゆく力を身につけようと思えば中小企業の方に分があるように思える。

全てのことには一長一短がある。選ぶのはあなた自身だ。
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