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國さんコラム「生きる力」
国貞克則
国貞克則
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 2005/11/28
<第4話>「もしそれがやりたい仕事でなかったら」
前回、やりたいことを探すより、何でもいいからまず職に就くことが大切だと書いた。やりたいことが明確でなくても採用してくれる会社はたくさんある。私が人事部時代に採用した学生は、私がいた会社の「人」にひかれて入社を希望してくれた人が殆どだった。

面接をしていても、無理やりに「やりたいこと」をひねりだしている人より、「私は仕事を通して成長し、世の中の役に立てる人間になって親を楽にしてあげたい」てなことを言う子の方がはるかに魅力的な場合が多い。

やりたいことが明確ではないわけだから、仕事を始めてみるとそれがやりたくない仕事であることは多い。だが、しっかり自己分析をし、やりたい事を明確にして入社してみても、学生の頃思い描いていた仕事と実際の仕事とは、大きな隔たりがあるのが普通だ。

もし、あなたが選んだ仕事がやりたくない仕事だったらどうするか。僕自身も今まで何度かそのような状況に直面してきた。技術屋から人事部に移った時はまさにそうだった。「海外プラントの仕事をするためにこの会社を選んだのに、何でどこの会社にでもある人事の仕事なんかしなけりゃならないんだ」と思ったものだ。

しかし、その嫌な仕事を辛抱して続け、周りに認められる成果が出せるようになれば、その嫌だと思っていた仕事が楽しくなる瞬間が必ずくる。人事部での僕の最初の仕事は会社案内や会社紹介ビデオを作る仕事だった。その頃、私が作る学生向けの会社案内の原稿を書いてくれていたのが、まだ有名になる前の田口ランディだった。『コンセント』などで直木賞候補にもなった作家だ。『コンセント』の中に國貞という名のスケベ心理学者が登場するが、それは間違いなく私の名前からとったものだ。

話しが脱線したが、僕は採用主担当として1,000名を超える社内リクルーターを動かす仕組みを作った。大企業といえども、社内で1,000人の人間が携わるプロジェクトなどそうざらにあるものではない。

振り返ってみれば、あんなに嫌だった人事の仕事が、自分の人生の中では視野を広げてくれる貴重な経験になった。

仕事は楽しいことばかりではない。嫌な仕事をしなければならない時、苦しい場面に直面した時、そんな時に人間は磨かれるのだと思う。

やりたい仕事ができることが幸せに通じる。人生はそんな単純なものではない。やりたくない仕事が結果的に人を幸せにしてくれることの方が多いような気がする。
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