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國さんコラム「生きる力」
国貞克則
国貞克則
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 2006/01/10
<第8話>「人生の真実」
年末に『ALWAYS 三丁目の夕日』という映画を見た。昭和30年代を舞台に、物質的には豊かではなかったが、心の豊かさに満ち溢れた懐かしい時代を描いた作品である。

この映画には、心の豊かさだけでなく、人生の真実がたくさん描かれていた。掘北真希(日テレの「野ブタ。をプロデュース」の野ブタ役)扮する六子は青森からの集団就職で東京に出てきて、自動車修理工場・鈴木オートに勤めることになる。大きなビルを持つ自動社会社での勤務を夢見ていた六子は、街のオンボロ自動車修理工場が自分の就職先であることを知り愕然とする。

ある日、社長と口論になり「もうお前なんかいらない。田舎に帰れ!」と社長に怒鳴られる。その時、六子は「私に帰る所はない」とつぶやく。六子が就職のために家を出る時、六子の母親は「これで口減らしができる」と冷たく六子を追い出した。六子が何度母親に手紙を書いても返事一つこない。

六子のお母さんが冷たく娘を追い出し、六子に手紙も出さなかったのは六子に里心がつかないようにとの親心だったのだ。どんな仕事をしようともそこには必ず辛いことがある。嫌になることがある。しかし、それを乗り越えなければ人は一人前になれないし、本当の意味で仕事を楽しむ所まではたどりつけない。

そんなことは真剣に生きてきた大人なら誰だって知っている真実だ。今の時代でも、やりたいことを見つけて入ったはずの会社が、自分の思っていたこととは違うことばかりだと殆どの人が感じていると思う。それはどんな会社に入っても同じだ。しかし、そこを乗り超えなくてはどこの会社にいっても同じなのだ。問題は会社にあるのではなく、それを乗り越えようとしない自分の側にある。

「自分に合った仕事を見つけなさい」「やりたい仕事をやりなさい」皆がそう言う。決して間違いではない。しかし、その考えは人に間違った人生を歩ませる危険性をはらんでいると思う。人間が本当に力を出す時は追い込まれた時だ。追い込まれた時どのように動くかがその人の人生を決めてゆく。

僕は自分の子供達を社会に送り出す時、この六子のお母さんのように厳しくなれるだろうか。このお母さんのように本当の優しさで子供達に接することができるだろうか。人生の真実を背中で伝えることができるだろうか。

人生の真実はチャラチャラした言葉の中にはない。自分の人生を自分の力でつかみ取る逞しさを持った人間になってもらいたいと思う。
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