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國さんコラム「生きる力」
国貞克則
国貞克則
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 2006/02/13
<第13話>「小が大に勝つ」
先日、庭に物置を設置した。広さは一坪ほどで高さは2m以上ある家庭用としてはかなり大きいものだ。私が買った物置は業界でさほど有名なメーカーのものではなかったが、デザインがシャレていたり、小さな荷物かけ用のフックがついていたりと細かい点に配慮がいき届いている品だなと思い、購入を決めたものだった。

設置作業に来られた方からこんな話しを聞いた。「このメーカーの物置は組み立て易いんですよ。ほら、こんな具合に2mの間隔の縦柱の上に横柱を取り付けようとすると以前は二人いないと作業ができなかった。でもこのメーカーのものはフックがついていて片方を引っ掛けておいて一人でもねじが締められる。こんな工夫が一杯なんですよ。このメーカーの営業マンはよく我々の所に来て『不具合はありませんか』と聞いて帰るんです。実際に不具合が出た場合でもこのメーカーだけはメーカーの人間が直接手直しに来て現場の状況を見て帰る。本当にたいした会社ですよ」

このメーカーはいずれ業界トップになるだろうなと思った。営業マンがこまめに顧客の所を回り顧客とよく話しをし、不具合点が設計に反映される仕組みが出来上がっている。業界の下位にいるからといって打つ手がないわけではない。生きたお手本である。

私は業界の5番目の会社にいた。東南アジアの現地企業との合弁会社設立に関して、我々はフットワークもよく、企画力もあり、合弁交渉先との信頼関係も良好だった。それが最終的には政治的な力によって企業連合が作られていった。その事を叔父に愚痴っていたら、叔父から「お前は仕事に対する取組みが甘い。業界トップが政治力を使ってくるのはあたりまえだ。そんなことも考えずに仕事をしていたのか。業界トップにはトップとしての仕事の楽しさと苦しさがある。業界の下位会社には下位会社なりの楽しさと苦しさがある。仕事の結果を環境のせいにしているようじゃ、たいした仕事はしてないな」と言われた。反論の余地もなかった。

孫子の兵法もランチェスター戦略も、小が大に勝つ方法は「一点集中突破」だ。相手の弱みに全エネルギーを集中し突破する。小が大と同じことをしていて勝てるはずがない。人のやらないこと、人にやれないことをして突き抜けなければ大に勝てるはずなどない。人がやれないことをやる人を見た時、人は心を動かされる。そして、ビジネスを行っているのは詰まるところ心を持った人なのだ。
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