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國さんコラム「生きる力」
国貞克則
国貞克則
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 2006/04/10
<第21話>「日々の積み重ね」
退職してからしばらく大学生の就職アドバイスを仕事にしていたことがあった。私は機械設計、企画、営業などの様々な職種を経験し、大企業も中小企業も知っており、人事部で採用の経験もあった。「仕事はどれも同じ。仕事は課題解決であり、全ての仕事は人を通して行われる」ということを言い出したのもその頃だ。いろんな仕事をやってきた私の実感だった。

学生に世の中の本当のことを伝えるために、もう一つ言っていたことは、「学生の評価はその人と話す前からおおかた分かっている。少なくとも3分も話せば○か×かの判断はつく」ということだった。

その頃私を使ってくれていた社長さんから、「國貞さんは学生の立場に立っていない。そんな事を言われて学生はどう思うか。学生に希望を持たせ、志望する会社に就職できるようにしてあげるのが就職アドバイザーの仕事ではないか」と言われ、猛反省したことがある。確かにそうだ。

私だって学生に直接会えば「この目の前の子供達をどうにかしてあげたい」とは思う。ただ、毎日何も考えずにテレビゲームばかりしてきた人が、就職試験前にスキルやノウハウを身につけても結局ダメなのだ。

人事部の人が見ようとしているのは裸の人間だ。就職活動のスキルやノウハウを身につけていればいるほど、それを剥がして本当のその人を見ようとする。就職試験前に身につけたスキルやノウハウより、今までその人が何を考えどう行動してきたかのほうが数段大切だ。そして、それら日々の考え方や行動は、目つきや立ち居振る舞いに現れてくる。

付け焼刃のスキルやノウハウでいっとき成功するより、失敗して日々の行動の積み重ねがいかに大切かを知ることの方が大切だと思う。就職試験だけではない。これから皆さんがマネージャとして人を使う時も同じだ。スキルとノウハウで部下の心をつかむことなど出来ない。大切なのは人間性や人格だ。

娘と一緒に、構造計算の偽装問題に関する証人喚問を見ていて、娘が「悪いことをする人は顔も悪いね」と言った後「あの人はいい顔しているの・・・」とつぶやいた。その人は、偽装を最初に見破った人だった。人の考え方や日々の行動は40歳にもなれば顔に現れ、それは小学生にでも見抜かれるのだ。

善良な志を持って日々の仕事に取り組んでもらいたい。日々の考え方と行動が皆さんの人格を作ってゆく。仕事を通して世のため人のためになることを黙々と続けてゆくことが大切だと思う。
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