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國さんコラム「生きる力」
国貞克則
国貞克則
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 2006/05/22
<第27話>「視野を拡げて自分を見る」
人が意思決定をする場合、二つの情報を使っている。一つはボトムアップ情報と言われる五感を通して得られる情報。もう一つはトップダウン情報と言い、既に獲得され記憶の中にある情報である。「知識」「信念」「思い込み」などがそれで、心理学用語では「ビリーフ」と呼ばれている。

このビリーフとはやっかいなものだ。全ての人はそれぞれにビリーフを持っているが、殆どの場合ビリーフを無意識に信じ込んでいるので、自分がどんなビリーフを持っているかさえ自覚していない場合が多い。そして、そのビリーフが時として自分と他人を苦しめる。

先日ある会社の新人研修を行ったが、ある人が「人に悪く思われたくない」という強いビリーフを持っていた。そのビリーフ自体は悪くはない。回りの人に気を遣ったり自分の発言に注意したりすることは良好な人間関係を作る上で大切だ。しかし、それがあまり強すぎて回りの目に神経質になり過ぎると自分を苦しめてしまう。世の中には人の目を過度に気にせずに素敵な生き方をしている人もたくさんいる。

「人は素晴らしい人物になるべく努力すべし」という強いビリーフを持っている人もいる。基本的にそれはいいことだし、そんな人は前向きな人が多い。しかし、人間はそんなに強くないから、理想とする自分と現実の自分とのギャップに悩み続けなければならなくなる。こういったビリーフを持つ人は躁鬱質の人が多いような気もする。また、そのビリーフが他人に向かうと、素晴らしい人間になろうと努力してない人を見て、その人が嫌になったり、その人を攻撃したりする。

信念や自分のしっかりした考えを持つことは大切だが、それに拘りすぎると自分と他人を不幸にしてしまう。宗教心を持つことはいろんな意味でいいことが多い。しかし、信仰に拘りすぎて戦争になった例は歴史を見ても枚挙にいとまがない。

人はそれぞれに違ったビリーフを持っている。自分のビリーフが唯一絶対などと思わず、もっと自分を客観的に見ると同時に、他人のビリーフを冷静に受け止める余裕を持って生きてもらいたい。

僕は常に信念を持って人生の決断をしてきたと思っている。しかし、その事が猪突猛進の行動になってしまうこともしばしばだ。周りの人に「お前ももっと信念を持って行動しろ」なんて言うより、「俺は猪突猛進だから勝手にやらせてもらうよ」と言って行動する方が、周りも自分も何か気持ちが楽になるように思える。
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