パフの若者就職応援ページ 閉じる
國さんコラム「生きる力」
国貞克則
国貞克則
プロフィール
バックナンバー一覧へ
 2006/06/05
<第29話>「苦しみは報われる」
先日、歌手の倖田來未がある女子中学校を訪問して「夢はかなう」という話しをしていた。目の前に本物の倖田來未が現れたので涙している女の子も少なくなかった。イチローにせよ松井にせよ、夢を叶えている人は素敵だ。そんな夢を叶えたスーパースターは、若い人達に大きなエネルギーを与えることができる。

しかし、子供の頃の夢が叶う人は一握りに過ぎない。倖田來未が準グランプリになったエイベックスが主催したオーディションは12万人が応募していた。つまり、11万9,999人は夢を叶えられなかったのだ。それが現実だ。

友人から小林恭二という作家の「父」という題名の小説を紹介された。小林恭二のお父さんは「神童」と言われていた秀才であった。東大を卒業し、大手鉄鋼会社に就職するのだが、健康の問題もあり結局は社長にはなれなかった。この作品の中で、著者は小説の主人公であるお父さんの人生を見ながら「人生とは自らの可能性に敗北する旅なのかもしれない」と言っている。心に引っかかる言葉だった。

人は若い頃自分の可能性に胸膨らませる。しかし、人生を歩んでゆくうちに、夢が叶えられないことを学んでゆく。小学校の時多くの人が夢見るプロスポーツ選手は、中学校になれば全国での自分の実力が分かり、実現は難しいことを知る。大学受験でも失敗する。就職も自分の思い通りにはいかない。就職しても自分の思い通りに出世はできない。

人生とは、自分が信じた自分の可能性に一つひとつ挫折してゆく旅と言えるかもしれない。そんな厳しい現実の中で人はどうやって希望を見出してゆけばよいのだろうか。私は「夢は叶う」より「苦しみは報われる」をいう言葉の方が、私達が救われる言葉であるような気がする。

息子は今、中学のサッカー部の副キャプテンではあるがレギュラーメンバーではない。毎週土日、試合にも出られないのに休まず練習試合に行っている。かわいそうだなと思うが、彼の人生を考えると、今の経験は貴重な財産になると思う。今の経験を通して、弱い立場の人の気持ちも分かるようになるし、我慢することも覚える。

素敵な人は必ず苦しい局面を乗り越えてきている。その苦しい局面が、彼らに逞しさと人への優しさを与えたのは間違いない。著名人でなくても、素敵な人の周りには自然と人が集まる。苦しい経験は必ず何らかの形で報われる。夢は叶わずとも幸せになれる道はたくさんある。人生は捨てたものではない。
<前のコラムへ 次のコラムへ>
バックナンバー一覧へ
このページのトップへ
Puff Co., Ltd. (C)Copyright Puff Co., Ltd. All Rights Reserved. 閉じる